光ファイバー通信技術解説
光ファイバーを使ったインターネットサービス(FTTH)が接続料金の低価格化も手伝って普及しています。日本では2008年に、光ファイバー接続によるブロードバンド契約数がADSLを抜いて最も多くなりました。
光ファイバー接続形態にはいくつかの種類があります。あなたの住居、接続環境に合ったサービスを見つけてください。
FTTHの基本接続形態

FTTH(光ファイバー)サービス模式図
インターネット接続の加入者回線に光ファイバーを用いた通信サービスをFTTHと言います。FTTHとは(fiber to the home)の頭文字を取った言葉です。
FTTH - Fiber To The Home
光ファイバーでインターネット接続するというと、他のブロードネット接続と比べると非常に高速なインターネット通信が実現すると思ってしまいます。しかし現実には上図「FTTH(光ファイバー)サービス模式図」に示すように、インターネット接続の足回り(加入者系ネットワーク)部分だけが光ファイバー接続になるだけです。
(参照:インターネットの構造)
インターネットの光ファイバー接続の基本構成は上図の通り、最寄りの電話局(または事業者収容局)から自宅までを光ファイバーで結びます。自宅に引き込まれた光ファイバーは宅内装置でより対線ケーブルまはたイーサネットケーブルで家庭内LANと接続します。一方収容局側はユーザー宅から集約した光ファイバーをLANスイッチやルーターを介して中継系インターネット回線と接続します。
光ファイバーを用いたFTTHはADSLやダイヤルアップによるインターネット接続と比べて通信速度や安定性などに強みがあります。しかし、サービス提供地域が偏っていたり、光ケーブルの取扱の難しさなど問題点もあります。
光ファイバー接続の特徴
- 局から離れても高速安定通信
- 光ファイバーは信号の減衰率が小さく、雑音の影響も受けにくいので長距離通信に適しています。収容局から20Km程度離れてもFTTHサービスが提供出来ると言います。 ユーザーに提供される公称最大通信速度は100Mbps、200Mbps、1Gbpsがあります。
- データ通信だけでなくIP電話やケーブルTVも同時サービス
- 光ファイバーは広帯域電送が可能なので、データ通信だけでなく多チャンネルケーブルテレビや安定したIP電話も提供されます。これらのサービスを含めた低価格メニューを用意したプロバイダもあります。
- 上り下りで同じ通信速度
- FTTHサービスはADSLと異なり、上りと下りの通信スピードが同じ対象型の通信サービスです。企業など大量のデータをやり取りする環境にも対応できます。
- サービスエリアは大都市中心
- 大都市ではFTTH利用可能世帯はほぼ100%に達しますが、山間部などの過疎地域へのサービスエリア拡大は遅れています。
- 光ファイバーの施設工事に手間取ることもある
- 近くの電柱まで光ファイバーが施設されていても、宅内までケーブルを引き込むためのケーブル工事が必要になり、光ケーブル引き込み工事に時間がかかることがあります。また、光ファイバーの取り回しは専門業者でないと出来ないので、いったん設置した宅内装置の移動にも手間取ります。
日本ではFTTHの全国平均普及率が20%前後に達しています。都市部での普及率が高く、東京都では27%程度あります。
お住まいの地域で光ファイバー接続が可能かどうかは、地域の光ネット接続業者HPでチェックできます
(参照:光ファイバ-(FTTH)ネット接続業者地域別一覧)
占有型と共有型

FTTH 占有型と共有型
光ファイバーを加入者線に使用するインターネット接続サービス(FTTH)の基本形態は、上の章「FTTHの基本接続形態」で説明したとおりです。収容局とユーザー宅を接続する基本形は、1本の光ファイバーを使って1対1で接続する占有型です(図「FTTH 占有型と共有型」上)。低価格でFTTHサービスを提供できる共有型と呼ばれる接続形態もあります(図「FTTH 占有型と共有型」下)。共有型は収容局では1本の光ファイバーを途中で分岐し複数のユーザー宅を接続する方式です。
電気信号を流す銅線であれば、途中で分岐するのもあまり複雑な装置は必要ありません。ところが、光信号で通信する光ファイバーは途中で分岐するのも特別な装置が必要です。
光ファイバーを途中で分岐させる装置をスターカプラー(または光スプリッタとも言う)と言います。スターカプラーは電源無しで光信号を分岐したり集合させたりする働きをし、LAN装置で言えばハブのような役割をします。
スターカプラーを使って光ファイバーを分割し、光ファイバーの施設作業を削減しながら複数のユーザーにFTTHサービスを提供する技術をPONと呼びます。
PON - Passive Optical Network
PONを実現する大事な要素であるスターカプラーは、受動素子なので信号をそのまま通すだけです。従って、収容局からユーザー宅向けに送出された信号は分岐したすべての光ファイバーに流されます。そのため、ユーザー宅に置かれた装置(ONU)と収容局に置かれる伝送装置(OLT)によって、宛先情報を付け自分宛の信号だけを識別できるようにしています。
PONの種類
PONにもいくつかの種類があります。
- BPON - Broadband PON
- BPONはBroadband PONを省略した用語で、光ファイバー部分のやり取りにはATMセルを使用する通信方式で、NTT西日本など多くの事業者が採用しています。またITU-Tで標準化された標準技術でもあります。
- EPON - Ethernet-PON
- イーサネットのMACフレームを光ファイバーの信号にも使用したのがEPON(Ethernet-PON)です。EPONは当初NTT東日本が採用していましたが、後にNTT西日本と同じBPONを採用しました。
- GEPON - Gigabit Ethernet-PON
- ギガビットイーサネットプロトコルを実現する規格としてGEPONが使われています。GEPONはIEEE 802.3ahとして標準化されています。NTT西日本/NTT東日本のギガビットサービスやKDDIのひかりone、Yahoo! BB 光などで使用されています。
個人住宅型とマンション型

集合住宅にFTTHを導入するとき
収容局からユーザー宅まで光ファイバーで接続する方法として1対1で接続する占有型、複数のユーザー宅を1本の光ファイバーで共用する共有型などいくつかの種類があることを説明しました。
戸建て住宅であれば、上記以外通信速度やPONの種類ぐらいしか違いはありませんが、集合住宅(マンション)タイプFTTHには、マンション内の接続法にいくつかの種類があります。
光導入時のマンション内接続法
集合住宅(マンション)タイプの光ファイバーインターネットサービスを提供している回線事業者は、収容局からマンションMDF内にある集合住宅用ONUに光ファイバーで接続した後、各ユーザー宅への接続に次のような接続メニューを用意しています。(事業者によっては提供していない接続方式もあります)
- VDSL接続
- 既設の電話回線(メタルケーブル)を利用する方式。既設マンションでLAN設備が用意されていない場合、一般的に利用される接続方式です。
- LAN接続
- Ethernetケーブルを利用して接続する方式。マンションに予めLANが施設されている場合に利用できます。別途VDSL装置などのレンタルが不要になります。
- 光ファイバー接続
- マンション内も光ファイバーを利用して接続する方式。マンションに予め光ファイバーが施設されている場合に利用できます。大規模マンションでも住居数、距離などの制約を受けずに高速インターネットサービスが受けられます。
- 無線LAN接続
- マンション近隣の電柱に設置した無線設備から、各戸のベランダなどに設置した無線宅内装置を介して接続する方式。既設のLAN設備や配管設備が無いなど、場所的な制約がある集合住宅でも利用できます。
新しいマンションであればインターネット接続用配線が準備されている場合が多いです。古いマンションの場合は、制約事項も多くなります。お住まいのマンションが既に光ファイバー契約されているか、事業者のホームページから確認できます。
