プロバイダ速度の真実

インターネットサービスプロバイダ(ISP)の申込みページを見ると、光ファイバーや高速接続、高速モバイルなどの表現が踊り、プロバイダを乗り換えるとインターネットのネットサーフィンや動画視聴がより速くなるような印象を与えます。
しかし、インターネットを利用した通信構造は非常に複雑で、プロバイダを乗り換えただけで高速化出来るかどうかは全く分からないのです。ここではプロバイダが宣伝している通信速度の真実をお伝えします。

インターネットの構造

インターネットに接続する通信経路構造
インターネットへの通信経路

インターネットは元々研究者同士が通信経路を網の目のように張り巡らし、分散型通信ネットワークを形成したことから始まりました。インターネットは現在、世界中に張り巡らされ毎年6%の割合で利用者が増加しています。
(参照:プロバイダの歴史
インターネットの特徴の一つに、電話などの中央集権型通信と違い、通信速度や通信品質を保証する元締めの組織がありません。中央集権型通信では通信速度や通信品質を保ちやすいのですが、中央システムにトラブルが発生するとすべての利用者が通信できなくなると言う問題があります。逆にインターネットなどの分散型通信システムでは、一部のシステムにトラブルが発生しても代替手段があるため他のシステムへのトラブル波及が少ない利点があります。その代わり、インターネットには通信速度や通信品質の保証がなくベストエフォートな通信となります。

一般ユーザーがインターネットへ接続する場合、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を介してインターネットを利用することになります。ところが、現在インターネットへ接続する方法には多様な手段があり、一口にISPと言ってもサービスの提供方法も多様化しています。

インターネットに接続するまでの通信経路

加入者系ネットワーク
一般ユーザーに身近なのが加入者系ネットワークです。1990年代前半はダイアルアップが主流でした。ブロードバンド時代になり、ADSL、光ファイバ、CATVによるインターネット接続が可能になりました。さらに携帯電話や無線LANなど無線系の加入者ネットワークを提供する業者も現れています。
中継系ネットワーク
一般ユーザーには見えにくいですが、加入者系ネットワークとインターネットサービスプロバイダを結びつけているのが中継系ネットワークです。NTT東西など大手通信事業者などは中継系ネットワークを含めて自前で構築していますが、ほとんどのISPは中継系ネットワーク事業者を利用しています。
インターネットサービスプロバイダ
一般ユーザーはインターネットサービスプロバイダ(ISP)に利用申込みするので、加入者系から中継系ネットワークなどすべて申し込んだプロバイダが用意していると思ってしまいます。しかし、実際には加入者系、中継系とも借り物の場合が多いです。
IX
IXとはインターネット相互接続点(Internet Exchange point)のことで、インターネットサービスプロバイダ(ISP)がインターネットに接続する接続点のことです。インターネットの接続先は世界中に無数にあるため、それぞれ独立に接続することは出来ません。そこで、地域ごとに共用の接続ポイント(IX)がもうけられています。プロバイダの中には、高品位の映像を伝送したり、IP電話のためにインターネット接続とは別に専用のネットワークを利用する場合もあります。

プロバイダ速度とは

インターネットの実効通信速度を検討
インターネット通信速度を決めるのは

通常プロバイダの通信速度というのは加入者系ネットワークの通信速度を表しています。最近パソコン以外のIT機器の普及に伴ってインターネット接続手段が多様化し、加入者系ネットワークによってその通信速度にも違いが出ています。
次の表に示すように、加入者系ネットワークによって、通信速度は大まかに分類されます。

プロバイダ速度とは加入者系ネットワーク速度
種別 通信速度 利用回線
ダイアルアップ ~56Kbps アナログ電話
ISDN 64Kbps デジタル電話
ADSL 500K~20Mbps アナログ電話
CATV ~30Mbps CATV
FTTH 10Mbps,100Mbps,1Gbps 光ファイバ
携帯電話
HSDPA
~7.2Mbps 無線
無線LAN 11~54Mbps 無線

プロバイダ契約をFTTH(光ファイバ)に変更したのに、思ったほど通信速度が速くならないと感じたことはありませんか。それは、光ファイバに変わったのは、通信経路のうち自宅から加入者系ネットワークに過ぎないからです。
インターネット経由でネットサーフィンしたり動画を見たりするときには、上記の図「インターネット通信速度を決めるのは」にあるように、自宅PCから接続先コンピュータに至るすべての経路が関係します。この経路の中で、一つでも通信速度が遅い部分があるとそこがネックになり思ったほど体感スピードが上がらないことになります。
インターネットを使った通信速度に関わる要素をあげると次のようになります。

インターネット速度に関与する要素

ユーザーのパソコン環境
自宅のパソコン環境が古いモデルだったりすると、思ったほど通信速度が出ないことがあります。CPUの能力不足やメモリ不足などがあると、高速のデータを処理できないからです。
加入者系ネットワーク
プロバイダなどがスピードを強調しているのがこの加入者系ネットワークのスピードです。
ダイアルアップの時代は1Mbps以下だったので、加入者系ネットワークが全体のネックになっていることが多かったですが、現在は必ずしも加入者系ネットワークがネックになっているとは限りません。
中継系ネットワーク
大手ISPでは中継系ネットワークには光ファイバや高速専用線を使っているので中継系ネットワークが速度のネックになることはありませんが、トラフィックが集中するとネックになることもあります。
ISPの設備
インターネットサービスプロバイダの保有する通信設備がどれくらい余裕があるのかが問題となることもあります。加入者数に見合った設備投資を行っていないと、ISPがネックになることもあります。
インターネット網
インターネット接続はベストエフォートな通信網なので、その時々でつながる経路が異なり時には速度の遅い経路を通ることもあります。また、トラフィックが集中すると通信が中断することもあります。
相手のネットワーク環境
通信相手のコンピュータのネットワーク環境も通信速度に大きな影響を与えます。大手のWEBサイトが通信相手の場合は十分高速なネットワークが使われています。それでもアクセスが集中するとネットワークの能力を超えることもあります。
相手のコンピュータ能力
通信相手のコンピュータ能力が問題になることもあります。時には古い設備を使っていたり、トラブルが発生して全く反応がないこともあります。

通信速度だけで選ばない

プロバイダの選び方

先の章「プロバイダ速度とは」で説明したように、プロバイダが表示している通信速度は加入者系ネットワークの通信速度であり、インターネット全体から見ればごく一部でしかありません。せっかく高額のひかり契約に乗り換えても思ったほど体感スピードが上がらなかったなどと言うことはよくあります。
それでは、何を基準にインターネットサービスプロバイダを選べばいいのでしょう。これが正解という選択法はありませんが、まずは自分が何を求めてプロバイダ契約するのか、求めるものを明確にすることからはじめてはどうでしょう。

万人向けかどうかは分かりませんが、私なりのプロバイダ選択のポイントを上げます。

プロバイダ選びのポイント

既存ユーザーの声
既に目当てのプロバイダを使用しているユーザーの声が聞ければ、かなり参考になります。インターネットサーフィンでプロバイダのクチコミ情報などがあればチェックしてもいいでしょう。ただし、他人の声は100%信じてはいけません。インターネットは時間場所が変われば条件が変わります。たまたま他人には良くてもあなたには合わないこともあります。 他人の声はあくまで参考程度と考えましょう。
適切な設備投資
導入を考えているプロバイダのホームページをくまなくチェックします。情報公開が進んだ会社なら経理情報や設備投資情報も公開しているかも知れません。また、加入者数の伸びや経営状態もチェックしましょう。
加入者系ネットワークの品揃え
インターネットの構造」で説明したように、ISPが加入者系ネットワークも自前で用意していることは少ないです。しかし、多くの加入者系ネットワークの品揃えが用意されているISPはISPそのものの設備も増強していることが多いです。大手だから安心とは限りませんが、それなりに余裕があると考えられます。
キャンペーンを利用して低コスト化
価格を重視するなら各社が実施しているキャンペーン情報を丹念に調べましょう。ただし、当初数ヶ月間だけ割引しその後値上げするキャンペーンも多いので注意が必要です。数年単位で利用することを前提に、最も安くなるプロバイダを選ぶべきです。
速度だけに注目しない
通信速度だけに目をくらまされないようにしましょう。インターネットプロバイダの通信速度は所詮瞬間最大風速でしかありません。インターネット接続全体での実効スピードはせいぜい数分の1程度しかありません。
過大な期待はせず、それでも新しいものに興味があるならFTTH(光ファイバ)接続を試してみるのもいいでしょう。
(参照:光ファイバ-(FTTH)ネット接続業者地域別一覧

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